こんにちはこんばんは、neroでございます。
今回は2004年公開の映画、「天使のくれた時間」についてレビューを書きたいと思います。なんでそんな古い映画を…しかもマイナーな…と思われるかもですが、私のお気に入りの作品をぜひともご紹介させてくださいな。
「あのときああしていたら、どうなっていただろうか…」
誰もが一度は考えたことのあるこの問いを、ハートフルな物語で描いた本作。
大学時代の寂しい時期に、なんとなく手に取って観たこの映画は見事に私にぶっ刺さりました。
※以下ネタバレを含みます!
物語はとある空港のロビーから始まります。
有名なメガバンクの研修参加という大きなチャンスをつかんだジャック(ニコラス・ケイジ)は、1年間のイギリス留学を目前にしていました。
恋人のケイト(ティア・レオーニ)は、二人の心が離れてしまうのが怖い、行かないでとジャックに話します。しかし、ジャックは「1年ロンドンに行ったくらいで気持ちは変わらないよ。100年行ったって変わらない」と告げ、イギリスへと旅立ち、しばらくして二人は別れてしまいました。
その後ジャックは仕事で大成功をおさめ、裕福で満ち足りた生活を送っていたのですが、ひょんなことから、「イギリス留学に行かなかった、ケイトと結婚しているパラレルワールド」に飛ばされます。
当初は家族のいる生活に喜びを見出せないでいたジャックでしたが、ケイトや子供たちの温かさに触れるうちに、これまでの仕事に全精力を注いでいた人生に疑問を持つようになりました。
やがて現実の世界に戻ったジャックですが、仕事のことなど上の空、ケイトや子供たちのいない人生に空虚さを感じ、現実世界でもケイトのもとを訪ねます。
この映画を見るうえで個人的にポイントだと思っているのは、パラレルワールドの存在により「仕事での成功を願う」・「家族としての幸せを願う」という異なる二つの考えをジャックとケイトそれぞれが持ち、疑似的に計4人の人格・人物が存在するという点、そして、人格的には4人となるわけですが、器である「ジャック」と「ケイト」は共通であるため、実際には2人であるという点です。
空港でジャックがケイトに二人の未来について思いをぶつけるシーンは作中でも屈指の感動的なシーンですが、冷静に考えてみると、ケイトからすれば過去に別れた男が変な妄想を語ってやがると一蹴しても仕方ない場面です。
なにしろジャックが経験してきた二人の未来は現実ではないパラレルワールドの話ですからね。
それでも結果的にケイトはジャックの「コーヒーを一杯だけ」という誘いに応じるわけですが、私はクリスマスの夜にケイトもジャックと同じ未来を夢で見たのではないかと解釈しました。
ジャックが「子供は二人、アニーとジョシュだ」とケイトに自分が見た未来の話を始めたとき、ケイトの表情に一瞬違和感のある驚きが表れたように感じました。自分が夢に見た話と同じことを告げてくる、そして彼自身のまっすぐな気持ちをぶつけられたことで、ケイトもただの夢だと気にしていなかった二人の未来に思いを巡らせたのではないでしょうか。
そう思えば、現実に戻ったジャックが最初にケイトの法律事務所を訪ねたとき、「僕たちが結婚していたら今頃どうなっていたと思う?」という問いかけに対してもケイトは同じように一瞬固まり、そのときと同じ表情をしていたように思います。「そういえば今日そんな夢見たな…」と感じていたのかもしれません。
パラレルワールドの最終盤では、現実世界に戻ることを悟ったジャックがケイトに「僕を忘れないでくれ」と告げていました。この願いは、現実世界でケイトがジャックと同じ夢を見るという形で実現されたのかもしれませんね。
物語は二人がカフェで談笑しているシーンで幕を閉じ、二人のその後については明言されていませんが、きっと二人は二人の未来を選択したと思います。
パラレルワールドの中で転職を考えていたジャックに、ケイトは「どこに住むかよりもずっと大事、”私たち”を選ぶ」と告げています。パラレルワールドといえどこの言葉を発したのは紛れもなくケイト自身であり、現実世界のケイトにも同じような考え方が生きていると思います。カフェで談笑している二人は、もう”私たち”を選んだ時の二人になっているはずです。(ちなみにこのセリフ大のお気に入りです笑)
ハッピーエンドを信じたい私はそんなことを思いました。
ニコラス・ケイジもティア・レオーニも、さすが圧巻の演技でした。それぞれの場面に応じた表情の使い分けが巧みで、この映画を機に二人の大ファンになりました。
きっとこの映画を見た男性はみんなティア・レオーニ(というよりケイト)と結婚したいと思うはず笑
人生で何が最も大切か、それは人それぞれだと思います。
確信して進む人もいれば、迷いながら進む人もいます。
そのどちらの人に対しても、「あなたにはいろんな未来や可能性がある」と背中を押してくれるような、ほっこりさせられる映画でした。
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